Kitty String x IrPad “Nylon 1.5” Strings

10 May 2013



 手の平に乗る程度の大きさのものを、ミリ単位の精緻さで操る。ヨーヨーは非常にテクニカルな競技です。鍛錬による競技者自身の技術の向上は勿論ですが、実際に使用する道具の性能・精度も重要であることは、金属リムヨーヨーや高精度金属削りだしヨーヨーの登場以降に明らかに見て取れるシーンの発展から、疑い様の無い事実であると言えます。ヨーヨー本体について言えば、力学、材料工学、或いは美学の観点から、コンマ1ミリの寸法で設計されるようになり、信じられない精度で加工されるようになりました。そのような中で、ヨーヨーをハードとした時に、ソフトであるレスポンスやストリングは、その性能を引き出す上で非常に重要なものとなってきました。先述の様な高い精度の寸法モジュールに合わせられ、更には硬度や若干の厚さの違いも考慮されて作られるシリコンパッド類や、糸の素材や撚り数を巧みに組み合わせ構成されるストリング。 これらはあきらかに質が向上してきましたが、しかしどれが一番と言うことも無く、それぞれの組み合わせないしは各プレイヤーの競技スタイル・クセ等によって向き不向きが出てくるのも事実です。
 

パッケージ側面にIrPadのロゴが入っています
自身に関して述べると、フラグメントと言う自身が設計したヨーヨー、そしてIrPadというこちらも早い段階で開発に努めたレスポンスパッドを擁し、ヨーヨー本体とレスポンスに関しては、不満がない、持ち様がありません。しかし、ストリングに関しては、これまでベストと言えるものに出会えず、常にしっくりくるものを捜し求めて来ました。そこで、Kitty StringのオーナーであるHiro Kobaさんに相談を持ちかけたところ、コラボレーションストリングの製作に快諾していただき、表題の”Nylon 1.5”ストリングの誕生に至りました。

  私のプレイスタイルは、スラックを多用したコンボと、フックやウイップを組み合わせた一発技群がメインとなっています。これらは糸を飛ばすと言う点は同じですが、実際全く性質が異なり、極論コンボパート、一発技パートに構成を分け、それぞれのパート毎にヨーヨーのセッティングを変えたい、と思うほど、双方に適したチューニングは難しいもので、これには常に悩まされてきました。コンボがやり易いと思うのは、細くて撚りが緩い硬い糸。フックがやり易いのは、細くて硬い、と言う点は同じですが、撚りが強く重い糸、と感じています。この両方の条件に合致した糸というものは、それこそ多種多様なものを試しましたが、どうしてもしっくりくるものは見つけられませんでした。そこで、Kitty Stringさんに理想を伝え、IrPadとのコラボ商品として作っていただいたのが、“Nylon 1.5”ストリングです。
 
 一般に、太い糸=撚り糸の数が多い糸ほど、重く、スラックが飛び易い上に、表面積が大きい為、コンボでスピードを出しても手との局所的な摩擦が少なく、重宝されます。しかし、私にとって重要なラセレーション系のコンボにおいて、予期せぬ戻りを引き起こす上、広い表面積が仇となり、汗や湿気を吸うことで接触部位との滑りが悪くなる、また、プレイ中に多数の撚り糸の隙間が広がり、空気を纏い、逆にスラックが飛ばなくなってしまう。
 また、4コンマ数ミリと言うヨーヨー本体のギャップにおいて、太い糸ほど本体との接触が増え、摩擦を生じ易くなり、スリープロスに繋がると言う問題があります。
 他方細い糸は、スリープロスの点では優秀ですが、しかし細いまま、スラックの飛びを良くするために重くしようとすると、撚りをかなりきつくしたり、素材を変えなくてはいけなくなってしまいます。
 

素材:ソフトナイロン 太さ:ノーマルとファットの中間
そこで、今までありそうで無かった、「ノーマル」と「ファット」と言うKitty Stringにおいて、また競技シーンにおいて近年メジャーな二つの太さタイプの”中間”の太さを提案しました。素材は、ポリエステルに比べ弾力が適度で、強度が高く、耐久時間が若干長いと感じたソフトナイロンを選択しました。この後数種類のサンプルを作っていただき、試してみたところ、その内の一つが、コンボ、フック双方において絶妙な使用感を誇っており、それが現在の製品版の礎となりました。

 ちなみに、今年の東日本大会Bブロックでは、当方ストリングにこのサンプルを起用し、優勝に漕ぎ着けました。このことにより、”Nylon 1.5”が、岩澤の私的体験に留まらず、同じ様な理想を持つプレイヤーに対する一つの普遍性を持った選択肢として提示されたと感じています。

 名前の由来としては、素材がソフトナイロンなのでそのままナイロン、加えて太さがノーマルとファットの中間と言うことで合わせて「ナイロンミディアム」と呼ぶのはどうかと提示した所、Hiro Kobaさんが私のフックを0.5回転ずつ巻数を増やしていくプレイスタイルに準えて、”Nylon 1.5”と名付けてくださり、それが商品名となりました。
  

糸が適度に重く、きれいな軌道でスラックが飛びます
長くなりましたが、”Nylon 1.5” ストリングスは、スラックが飛ぶ適切な太さ、重さ、撚りの強さと、コンボに適した絶妙な太さ・硬さが調和した、私の理想とも言えるストリングに仕上がっております。と、言うと特殊な糸の様に聞こえますが、そのバランスの良さは、全てのプレイスタイルにおいて一つの優秀な選択肢になると信じています。現に、Team IrPadの内部でも好評の声が上がっており、メインのストリングとして”Nylon 1.5”を選択したメンバーも少なくありません。
 
 私と同じような悩みを持った方、あるいは今のストリングにちょっと物足りなさを感じている方、是非一度試していただきたいストリングです。
 5月10日現在国内ではIrParlorでのみの取り扱いとなっております。商品ページはこちら!

:)

P.S.
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P.P.S.
 Kitty Stringと外部のメーカーがコラボすることはこれが初の出来事らしく、非常に光栄に思っています。来るJNにおいて”Nylon 1.5”は非常に心強い存在であり、Hiro氏の好意にも応えるべく当方全力を尽くしたい所存です。

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